くも膜下出血の後遺症とは?特に記憶障害に注意!
くも膜下出血は、発症すると約50%の致死率のある危険な病気です。たとえ命をとりとめたとしても、その後の後遺症に悩まされる方もいますし、再発の危険もあります。
できれば発症しないようにしたいですね。今回は、くも膜下出血の後遺症といわれる記憶障害の原因についてまとめてみました。
くも膜下出血とは?
ヒトの脳は3つの膜で守られています。内側から、軟膜・くも膜・硬膜といいます。この軟膜とくも膜の間で出血する病気をくも膜下出血といいます。
くも膜下出血の原因は高血圧と喫煙と言われています。そして加齢やストレスも原因になると言われています。
ある日突然やってくるというイメージがありますが、実は原因があるのです。くも膜下出血を発症しないよう日頃から注意したいですね。
くも膜下出血後の記憶障害について
くも膜下出血後、記憶障害を起こすことがあるというのは聞いたことがあるでしょう。
これはくも膜下出血が原因というわけではありません。脳の手術を行った後の体の制御機能により起きるものと言われています。
脳で出血があった後は、脳が骨と接触しないように脳圧が上がります。
それとは逆に血管では制御機能が働き、血管が緊張して収縮した血管攣縮(けっかんれんしゅく)という状態になります。
このことにより脳へ十分な血液が送られず、記憶障害という形で症状があらわれるのです。
この記憶障害は脳手術後の一時的なものがほとんどで、多くは2~3週間で改善されます。しかし、記憶障害というのは本人にも家族にも大きな衝撃です。
焦って思い出そうとしたり、周囲が急かしたりすると回復が遅れることもあります。
人によっては改善されるのに10年以上かかることもあります。脳手術後の一時的なものだと理解し、慌てず対応することが大切です。
心配するあまり、根気強く記憶に刺激を与えようと話しかけたりしたくなりますが、まずは焦らず見守ってあげましょう。
くも膜下出血の後遺症について
くも膜下出血の後遺症は様々な分野にわたります。どのようなものがあるかみてみましょう。
運動障害
最も多いのは半身麻痺です。左右どちらかのみに麻痺が生じます。うまく歩けなくなったり、字を書きにくくなったりします。
日常生活への影響は様々ですが、軽度であればリハビリで回復することも可能です。
嚥下(えんげ)障害
舌や喉を動かす筋肉が麻痺して上手にものを飲み込めなくなります。
そのため、食べ物が肺に入ってしまい呼吸困難を起こしたり、肺炎を起こすという事態になることもあります。
言語障害
言語中枢がある左脳のくも膜下出血を起こすと、話したり、聞いたり、読んだり…といった言語能力に支障が出ることがあります。
感覚障害
どちらか半身の感覚が鈍くなったり、痛みやしびれといった症状があらわれます。
視野障害
これは視覚ではなく、視野に障害があらわれます。視野が狭くなるため、その範囲によっては日常生活に大きな影響を与えます。
本人は見えているつもりでいるため、非常に危険な行動をすることにつながります。
排泄障害
排尿をコントロールできなくなり、頻尿・尿失禁などの症状があらわれます。
人格障害
注意力の低下が起こり、何事にもやる気が持てなくなります。
自分の感情や行動をコントロールできなくなり、急に怒り出したり、急に泣き出したりします。この状態で、さらに感情が不安定になり、うつや認知症などへ発展してしまうこともあります。
くも膜下出血の予防
くも膜下出血の予防の第1歩は禁煙です。喫煙者の発症確率は非喫煙者の2倍以上です。体のことを考えて禁煙するようにしましょう。
高血圧の方は特に、血圧のコントロールが大切になります。日頃から血圧測定の習慣をつけ、変化があればその都度医師に相談しましょう。
また、くも膜下出血の前兆についてしっかり把握しておくことも大切です。こちらで詳しくお伝えしています。
→【くも膜下出血の3つの前兆】
まとめ
くも膜下出血は非常に死亡率の高い病気です。命をとりとめた後も、後遺症があると生活が大きく変わってしまいます。
そんな中、記憶障害という状態になると、本人も周囲も非常に動揺します。何とか助けてあげたいと願うあまり、必要以上に働きかけてしまうことがあります。
記憶障害は手術後の一時的なものがほとんどで、通常2~3週間で回復します。この期間はとても長く感じるかもしれませんが、焦らず見守ってあげましょう。