胆嚢の摘出手術後の影響は?どんな後遺症が残るの?
胆嚢とは、学校で人体のしくみを勉強した時に名前ぐらいは聞いたことがあるけれど、働きについてはよくおぼえていない…という方も多いと思います。
まずは胆嚢の働きを十分理解しておく必要がありますね。
胆嚢だけでなく、摘出してしまっても生きられる臓器はいくつかありますが、その摘出後の影響をよく理解し、体に合った生活をするよう心がける必要があります。
ここでは、最近よく耳にする胆嚢の病気、胆石症・胆嚢ポリープなどにより、胆嚢の摘出手術を受けられる方が少しでも不安を取り除けるよう、術後の影響や後遺症などについてまとめてみました。
胆嚢の働きについて
胆嚢は、人体最大の臓器である肝臓の下に張り付くようについている小さな臓器です。
肝臓で作られた胆汁を蓄え、必要な時に総胆管を通して十二指腸へ送る働きをします。
胆汁は主に油分の消化に欠かせない消化液ですが、胆嚢は単なる貯蔵器であり、そこで作っているわけではありませんので、摘出しても胆汁は十二指腸へ送られます。
胆嚢摘出後の合併症について
創感染
胆嚢摘出術に限らず、外科手術を行った場合、傷口での細菌感染により起こります。
肺炎
もともと肺機能の弱い方や喫煙歴のある方でまれに見られます。
術後出血
術後に摘出部位から出血することがまれにあります。
自然に出血が止まることがほとんどですが、どうしても出血が止まらない場合は輸血や再手術が必要となります。
術後胆汁漏
肝臓と胆嚢の切除部分から術後に胆汁が漏れ出すことがあります。
絶食することで自然に止まることがほとんどですが、止まらない場合には再手術が必要となります。
肝機能障害・黄疸
手術中や手術後には、抗生物質などのたくさんの薬を投与します。
その薬の多くは肝臓で代謝されるため、薬に対してアレルギーのある方は肝機能障害や黄疸といった症状があらわれます。
腹腔内膿瘍
術後、摘出部位の細菌感染により膿瘍を形成されることがあります。
大抵は抗生物質の投与により治りますが、抗生物質が効きにくい場合は、ドレナージという方法で刺した針から直接体外へ膿を出します。
胆嚢摘出後(たんのうてきしゅつご)症候群
術後、上腹部の痛み・発熱・黄疸・吐き気などの症状が出る場合があります。
このような症状があり、胆道の運動異常に原因がある場合をこのように呼びます。多くは内服薬で改善されるので、早めに担当医に相談しましょう。
胆嚢摘出後の生活について
胆汁の貯蔵庫である胆嚢がないということは、胆汁の量を調整できないため必要に応じて十分な胆汁を供給できないということになります。
つまり、油分を多く摂取した際に油分を十分に消化できないわけですから、下痢気味になる方がいます。
基本的には手術前と変わらない生活ができますが、油分の大量摂取をしないよう心がけましょう。
個人差も大きいので、少しずつ摂取量を増やし、自分の体のサインを確認するのも良いですね。
それから、胆嚢を摘出してもしなくても胆管に胆石ができる可能性はあります。
胆石症により胆嚢摘出される方は誤解のないよう、主治医に十分確認しておきましょう。
まとめ
もともとあった臓器を摘出するということは、とても不安なことですね。
まずは機能を理解し、現状を把握し、摘出した場合としない場合の生活をよく比べ、よりよい選択をしていただきたいと思います。
十分に理解した上での選択であれば後悔はないでしょう。よりよい生活への一歩につなげてもらえたら嬉しいです。
また、胆嚢摘出手術にかかる費用や入院期間についてはこちらで詳しくお伝えしています。
→【胆嚢摘出手術の入院期間や費用について】