抗生物質とアルコールの飲み合わせで引き起こされる副作用。飲酒の際の注意点。
飲み会でお酒を飲む機会があるけれど、抗生物質を服用していても大丈夫なのだろうかと不安になってしまいますよね。
抗生物質とアルコールの飲み合わせは適切ではなく、場合によっては危険な副作用を引き起こしてしまうおそれもあるので注意しなければなりません。
そこで、ここでは抗生物質とお酒(アルコール)の飲み合わせについてお伝えしていきます。
抗生物質とは
抗生物質とは簡単にいうと、細菌による感染症に有効な薬です。外部から病原性のある細菌が侵入してきて炎症を起こしてしまう病気に対して効果があるのです。
例えば、細菌が喉、肺、胃腸、腎臓、膀胱などに感染して炎症を起こしたり、化膿したりするとさまざまな症状を引き起こします。
抗生物質は、この病原性のある細菌を特異的に退治することができるのです。
ただし、注意しなければならないのは抗生物質に効果があるのは「細菌」による感染症だけです。
ウイルスや真菌は細菌とは違うので、これらが原因の感染症に効果はありません。例えば、インフルエンザはインフルエンザウイルスが原因になるので抗生物質を服用しても効果は得られないのです。
抗生物質とアルコールの飲み合わせ
抗生物質の種類にもよりますが、基本的に抗生物質とアルコールを飲み合わせるのは避けるべきです。
なぜかというと、肝臓において抗生物質(薬)とアルコール(酒)の代謝が競合してしまうからです。
肝臓の代謝機能には限りがあるので、アルコールを分解しているときに抗生物質を服用しても抗生物質を代謝することができなくなってしまうのです。
それでは、このようにアルコールと抗生物質が肝臓において競合してしまうとどのようなことが起きるのか見ていきましょう。
副作用が起きやすくなる
薬は、私たちの体内で適切に処理されて十分な効果効能を及ぼすように用量が定められています。
しかし、飲酒していると薬を適切に処理することができなくなってしまうのです。さらに具体的にいうと、肝臓はアルコールの分解で精一杯なので、薬を代謝することができない状態になっているのです。
これにより、服用した抗生物質は通常より濃い濃度で体中を巡ってしまいます。
つまり、これは抗生物質を定められた用量より多く服用してしまっているのと同じことですね。
薬と毒は表裏一体と言われているように、薬を多く服用してしまうとその分、副作用の危険性が高くなります。
二日酔いを起こしやすくなる
これは、特にセフェム系という抗生物質の種類に当てはまります。
セフェム系抗生物質とアルコールを飲み合わせてしまうと、アルコールの代謝が途中で止まってしまい体内にアセトアルデヒドという物質を増やしてしまうことになります。
これにより、ひどい二日酔いを引き起こしてしまうのです。
抗生物質による副作用
抗生物質には、ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系などさまざまな種類がありますが、ここでは各種類に共通する副作用についてお伝えしていきます。
下痢
下痢は抗生物質の副作用で最もよくある症状のひとつです。抗生物質を利用する約20%の人が副作用による下痢を経験したという報告もあるほどです。
これは、腸内細菌叢という腸内の細菌環境が変化してしまうことが原因だと考えられます。
参考:抗生物質の副作用で下痢をしてしまう理由を分かりやすく!
胃痛
下痢と同様に、胃痛もよくある副作用です。特にアンピシリンやセフィキシムといった抗生物質で胃腸障害はよく引き起こされると言われています。
体がだるくなる・筋肉痛
抗生物質の副作用により体がだるくなったり、筋肉痛が起きたりすることもあります。これは抗生物質の種類に限らず、多くの抗生物質で引き起こされる副作用になります。
抗生物質の服用前後でアルコールを摂取してもいい時間と間隔
服用前のアルコール摂取
抗生物質を服用する前にアルコールを摂取したい場合、どのくらいの時間を空ければいいのでしょうか。
この場合は、体内でアルコールがどのくらいの時間で分解されるかによります。肝臓でのアルコール分解時間は人によって違いますが、だいたい4〜6時間かかるといわれています。
なので、抗生物質を服用前にアルコールを摂取した場合はできれば6時間の間隔は空けて服用するようにしましょう。
服用後のアルコール摂取
反対に、抗生物質を服用してどのくらいの時間がたてばお酒を飲んでいいのでしょうか。断りきれない飲み会の予定が入っていると、アルコールを摂取せざるおえない状況になってしまいますよね。
これは、抗生物質の種類により空けるべき時間は大きく変わってきます。なぜなら、薬の種類によって吸収される時間が異なってくるからです。
例えば、1日3回服用する抗生物質の場合は、6時間くらいの間隔は空けたほうがいいでしょう。
この点については、医師に相談するようにするといいですね。
お酒との飲み合わせに危険性がない抗生物質
基本的に、抗生物質を服用しているときはアルコールの摂取は控えるようにした方がいいでしょう。
ただし、抗生物質の種類によっては、お酒による影響がほとんどない場合もあります。
フロモックス
フロモックスはセフェム系抗生物質です。扁桃腺の腫れや外耳炎などによく使われる薬となっています。
フロモックスは基本的にはアルコールと飲み合わせても問題ない抗生物質のひとつとされています。
参考:フロモックス錠100mgの風邪への効果を分かりやすく!
クラリス
クラリスはマクロライド系抗生物質になります。中耳炎、呼吸器感染症、皮膚感染症など幅広く使用される薬です。
比較的副作用が少ない抗生物質とされていて、お酒との飲み合わせも問題ありません。
ただ、アルコールとの併用が問題ない抗生物質でも他の薬との飲み合わせなどで思わぬ副作用を引き起こす危険性もあります。
薬剤師、医師にしっかりと相談して服用するようにしましょう。
お酒以外で抗生物質との飲み合わせに注意すべき飲食物
熱いもの
白湯やホットミルクなど熱いものと一緒に抗生物質を服用するのは避けましょう。
牛乳
牛乳は、アルコールの場合とは逆に吸収が妨げられ、十分な効能を得ることができなくなってしまいます。
これは、牛乳に含まれるカルシウムが抗生物質と結合してしまうことにより起こります。アモキシシリン、塩酸テトラサイクリン、セファレキシンなどの抗生物質に特に当てはまります。
服用前後の3時間は牛乳を飲むのを避けるようにしましょう。
揚げ物
油物、揚げ物も同時にとると抗生物質の効果を著しく低下させてしまいます。特に、ペニシリン系抗生物質に含まれるアンピシリンの効果が低下してしまうのです。
抗生物質を服用するときは、揚げ物を食べたときから時間をとるようにしましょう。
お菓子
お菓子のように甘いもの、糖分を多く含む飲食物も抗生物質と飲み合わせがよくありません。糖分との相性が悪く、抗生物質の吸収が阻害されてしまうからです。
特にテトラサイクリン系抗生剤に当てはまります。
抗生物質を服用するときは用法・用量をしっかり守ろう
抗生物質は細菌感染症に対してとても効果があり、症状を抑えるためによく使われる薬です。ただし、用法・用量をしっかりと守らないと思わぬ副作用を引き起こしてしまう危険性もあります。
医師や薬剤師と相談し、正しい服用法で使用するようにしましょう。特にうっかり飲み会に参加して、アルコールをたくさん摂取することはないようにしたいですね。